ネタバレあり。
なんとなくブックオフ買ってみた小説です。
作者は山本文緒さん。
まずね、主人公が痛い!痛すぎる!
その痛すぎる主人公の一人称で話が進んでいく訳だから、もう読み進めるのがキツい。
一人称小説で、女性主人公とはいえここまで感情移入出来ない主人公も珍しい。
主人公は美人で性格の悪い事悪い事(笑)
二十歳超えても祖母以外の身内である両親を馬鹿にしたり、異性に媚び、同性を馬鹿にするなど、ここまで好感を持てない主人公も珍しい。
中学時代の同級生、大魔神こと魚住に対しても、容姿を馬鹿にするなど最悪。
読み進めていくと、この共感出来ない主人公の一人称である理由がわかっていくのですよね。
主人公の椿は、コンパニオンをやってるくらい美人だ。
それはもう、一人称で幾度となく椿の容姿は美人だと読者に印象づける。
しかし、中盤に元カレでセフレのグンゼに、モデルやタレントになれるほどの美人ではない事を本人と読者に示唆される。
ギャグでしょ? 散々他の女をdisって、自分ageしてたのに、その女達と同レベルだとかw
そこから主人公の見ていた世界が、事実と異なる事がどんどん明らかになるわけですよ。
そこからが面白い。そこから少しだけ主人公に同情しちゃって、物語に引き込まれていくんですよ。
大魔神魚住は主人公椿の対極に位置するキャラ作りですね。
最初は嫌なブスでしかない魚住も、話が進んでいくと椿の恋敵であり、友人ではないのに椿の相談に乗ってくれたりと奇妙な関係がまた面白い。
なんというか、キャラクターと言うより、「人間」を書いた作品なのかな?
現実だって、家庭以外の家族の一面なんて知らないし、知ろうともしない。他人なら尚更。
あと、タイトルの意味が良く分からない。