『今日から俺は!』『道志郎でござる』『お茶にごす』の作者、西森博之先生の小説作品です。
ネタバレあるので気をつけてください
あらすじ
見た目どこにでもいる普通の高校生(妹属性のアニオタ)・杵屋孝志は、ある日、ふと下校途中に立ち寄った神社で超絶美少女の巫女・霞に出会う。聞けば、自分は神に選ばれたのだという。 なにかの悪戯か? 当然のごとく訝しむ孝志だったが、霞があまりに気になってしまい、どんどんと見えざる相手の思惑に巻き込まれていってしまう。 一方で、ふがいない生活を続けている中年サラリーマンにも、同じような出来事が出来していた――。
まず思ったのは、文章が意外に読みやすい事。タイトル、設定、文章的にライトノベルに近いですが、別物な印象を受けました。
一迅社辺りの底辺ラノベなんかよりは全然読めます(一迅ラノベが嫌いだとは言ってない)
主人公の名前の元ネタは卓ちゃん+ミツハーシーをちょっと変化させたものだと思うんだ
卓ちゃん達の頃からそうだけど、西森先生の書くオタって、古臭いイメージ。あとなんか純粋っていうかかわいい(容姿じゃなくて内面が。いや、アニ研の結城ちゃんとかメカクレの娘可愛いけど)
それと、ヤンキーが出ないのに驚きましたね。
ボーイミーツガールっていうのかな? 冒頭で主人公が美少女に出会って、チート能力を貰う。
ここまではよくある話だが、主人公はチートな能力よりもヒロインに夢中で、平和主義という。
ラノベというより、チーレムなネット小説へのアンチテーゼ的な何かを感じました。
孝志 なろう
ヒロイン一筋 ハーレム築く
チート使わない ドヤ顔無双
古臭いオタ 気持ち悪いオタ
みたいな感じで。(なろうは作品名あげてないから偏見かも)
でも、この孝志くん、アニオタを自称する割にドラゴンボールみたいなメジャーなネタしか使わないんですよね。
そのせいか、妹萌えとアニオタ設定がチグハグ感があるような……?
まあ、一般人相手には自重してるのかもしれないけど。(作中的にも読者的にも)
接する相手がオタじゃないんだから寧ろ当たり前か。
なろうやラノベなんか見てると感覚が麻痺するね。
で、ラブコメするかと思いきや、同じチートを与えられたくたびれたサラリーマンが現れ、シリアス気味に。
ラノベなんかだと多分美少女で戦闘できるサブヒロインのハーレム要員になるんだろうね。
このサラリーマン、加戸は孝志と違って、能力を手に入れた事により、粗暴な人間へと変質する。
アニメ版ラインバレルの序盤の浩一みたい。
子供と大人、巫女への扱い、力を得た後のスタンス、『仲間』
孝志の対照的な存在として描かれたのかな、と。
最後は子供を殺してない事を誇り、死んでいく加戸ですが、徹底的にクズとして描いた方が爽快感としては良さそうだった。西森先生クズ書くの上手いし
でも、加戸は元小悪党どころか小市民ですからね。『神』の被害者だからこういう末路にしたんだろうね。
俺は妹萌え以外、孝志くんのキャラ好きです。
「誰もがもっとお金持ちに生まれて、格好よくて、賢さもあったらって思うでしょ」
「はい、人はそれを望みますね」
「でもさ、上には上があるでしょ。だから、もっともっとって事になる」
この辺りの台詞が良かったです。
「頑張ってからのご褒美、これが僕の幸せだよ」←ガリガリ君
高校生には老成しきった考え方かなとも思いますが、こういった考え方の主人公は、俺が求めていた主人公でもあります。妹萌え以外
「頑張ってからのご褒美」これは全部読み終わってから聞くと、深いかな。 頑張ったから最後にご褒美で霞に再び会えるわけだし
個人的には面白かったです。