2013年9月28日から上映された映画、『そして、父になる』の感想です。
この作品を一言で表すなら、面白い!
結構長い2時間と言う時間が決して長く感じず、楽しんで見れました。
出演者の福山雅治、尾野真千子、真木よう子、リリー・フランキー、子役の子達もみんな演技上手いですね。
ストーリーは11月から翌年8月までに渡る子供の取り違えによる二組の親子の物語ですね。
福山雅治演じる野々宮良多は、エリートな仕事人間で、自分自身も厳格な父と再婚相手に育てられた事から、父親としては未熟。寧ろ失格と言ってしまってもいいかもしれません。
フォローすると、仕事人間ながら、子供である慶多の教育に無関心というわけでなく、ピアノを一緒に弾くシーンやwiiを一緒にやるシーンなんかもあり、初期から最低限以上の愛情は持っていると思います。
しかし、彼は息子である慶多の能力の低さから、取り違えが発覚した時、「やっぱり、そういうことか」と言ってしまう有様。
エリートで人生の勝ち組だが、父として、或いは人間として欠陥のある主人公が、子供取り違え事件を通して、タイトル通り、父になるまでの過程が二時間という短い尺の中、丁寧に描写されていて凄い良かった。
相手側のリリー・フランキー親子は、田舎町の電気屋、子沢山、ボロい一戸建てと福山雅治とは正反対に描写されていてこれまた面白い。
金があり、高級マンションに住んでいるが、小学校から受験させられピアノも習わされるある意味子供にとっては煩わしい野々宮家
貧乏でボロ一軒家に住んでいるが、兄弟が沢山いて、愛が溢れていて温かい斎木家
子供が育つ上で、どちらが幸せなのか……そりゃ、将来を考えれば野々宮家でしょうが、子供の頃しか出来ない経験を体験出来るのは斎木家かな?とも思ったりするし。
そして、父になるというタイトル上、福山雅治演じる野々宮良多にスポットを当たるのは当然ですが、このテーマを描くにあたり、致命的に描写が足りてないのが子供の視点。
大人にとっては飲み込めても、6歳の子供が親だと思っていた人物から引き離され、赤の他人の家に引き取られるという不条理で理不尽な出来事をスルーしているんですよ!
6歳の子供が親元から引き離されたら、どう感じるのか? そういった描写が欠けています。これはこのテーマを描くにあたり致命的ですね。
どうでもいい作品なら、気にならないけど、面白く、丁寧に描かれてる作品だからこそ、そこの不足が目立ちますね。
85点