作者:有川浩
発売日展開2008年1月22日
レーベル:幻冬舎文庫
あらすじ
隣に座った女性は、よく行く図書館で見かけるあの人だった……。片道わずか15分のローカル線で起きる小さな奇跡の数々。乗り合わせただけの乗客の人生が少しずつ交差し、やがて希望の物語が紡がれる。恋の始まり、別れの兆し、途中下車――人数分のドラマを乗せた電車はどこまでも続かない線路を走っていく。ほっこり胸キュンの傑作長編小説。
初の有川浩作品です。あらすじでは長編小説って書いてあったけど、オムニバス形式で短編集のエピソードが交差する感じですね。以下ネタバレ注意。
最初の宝塚駅から、終点の西宮北口駅までのわずか15分の間に色々な人々が交差し、物語を紡がれるのだが、これが面白い。
袖振り合うも他生の縁を体現するかのような物語ですね。
人は、ほんの些細な一言にも影響を受ける生き物です。
例えば片思いの好きな人と何気なく会話するだけで心は浮き足立つし、些細な悪口で簡単に人を死に追いやることもありますし、そんな何気なく居合わせた人物の何気ない会話が、また誰かに影響を及ぼすなんとも素敵な物語ですね。
人間、誰しもが自分の人生の主役であって、他人の人生の脇役なんですよね。
ひとつの話で主役を務めた人が、違う話では脇役に回り、また別の誰かに影響を与える。 短編集でありながら、各話が程よくリンクしていく構成が凄い。
主人公たちの殆どが女性なのですが、男性の俺が読んでてキツい部分は特になく、あっさりしていて読みやすいのが凄い。
短編集でありながら、どのエピソードが欠けてもこの「阪急電車」にはならない。有川さんの文章や構成力には脱帽。
映画の方は観てないのですが、映画化もされているみたいなので、興味あれば是非小説でも映画でも触れてみてください